税理士さんの記帳指導!個人事業主は勘定科目「事業主借」「事業主貸」を使おう!

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先日、税理士さんが記帳指導のため自宅(兼仕事場)に来られた。無料で記帳から申告書の作成までを個別一貫指導してもらえる税務署の行政サービスだ。

私がこのサービスを受けることができた経緯は、こちらの過去記事を読んでいただけるとわかるはず。

出す?出さない?「開業届」を提出することの本当の意味とは。 | メモラビ

今回は、初めての記帳指導(全4回の予定)ということで、事業内容を簡単に説明した後は、私の盛り沢山の質問にひたすら答えていただいた。ありがとうございましたっ。

「開業費」って…?

まずは、開業する前(開業届を提出する前)に購入したものについて聞いてみた。

私の場合、パソコン・関連書籍・デザイン用ソフト・通信講座・仕事用の机などなど・・・開業前の準備として、大きい買い物が目立つ。がんばったな私…

税理士さんによると、「開業費は、“資産”扱いになります。初年度に、全額償却する必要はなく、所得(利益)の多い年に任意償却することができます」とのこと。

つまり、開業してしばらくは大きな利益も出ないだろうから、個人事務所の”資産”として持ち続けておいて、利益が出始めた頃(任意)に経費として計上していいですよ、ということらしい。払う税金が増え始めた頃に「開業費」をドカンと経費にすれば、「節税」になるという訳だ。

「今年は、赤字でしょ?」とさらっと税理士さんに言われた私。がんばれ私…

家計用と事業用のお金を分けてないんですが…

『家計用と事業用のお金はきちんと分けましょう!』私が読んだ青色申告の本にそう書いてあった。『分けておかないと、後々大変なことになりますよ〜』とも書いてあったな・・・

「分けなきゃ分けなきゃ…」と思いながら、ずっと明確に分けずに使ってきた私。

事業用クレジットカードを作っていないので、事業用の買い物は、家計用の夫名義のクレジットカードで支払ってきた。唯一、仕事で得た収入だけは、私名義の銀行口座に振り込まれるようにしているけど・・・家計用のお金が足りないからと、事業用の銀行口座からお金をおろして補填することもしばしば。

「↑なんですが…」と聞いてみた。一番聞きたかったことだけど、内心ドキドキ。「最初に分けとかないと、記帳するの大変なんですよね…(溜息)」なんて言われるのかと思いきや、意外な答えが返ってきた。

「全く問題ありません。家計用と事業用でお金を分ける必要はありません。」

な、なんと!分けなくていいらしい。「分けても管理が大変だし、わかりにくいでしょ?私も分けてないですよ。」と税理士さん。

さらに、「名義」も分ける必要ないらしい。仕事で得た収入を、私名義の銀行口座に振り込まれるようにしていたが、夫名義の銀行口座でも何ら問題はないようだ。理由は、「夫婦が築いた財産は共有財産」だから。夫の稼ぎは、私のものでもあり、私の稼ぎは、わ…夫のものでもあるということだ。

「事業主借」と「事業主貸」

ここで、登場するのが「事業主借(じぎょうぬしかり)」と「事業主貸(じぎょうぬしかし)」だ。税理士さんによると、この2つの勘定科目を使って記帳することで、家計用と事業用でお金を分ける必要がなくなるとのこと。

事業主借」は、「事業主から借りている」という意味。つまり、「個人事務所(OrangeOlive)が、私個人からお金を借りている」と考える。例えば、仕事に必要なモノを買った場合、お金は私個人から借りて(私個人が立て替えて)支払ったと考えて記帳するのだ。

事業主貸」は、「事業主に貸している」という意味。つまり、「個人事務所(OrangeOlive)が、私個人にお金を貸している」と考える。例えば、仕事で得た収入が私名義の銀行口座に振り込まれた場合、個人事務所(OrangeOlive)のお金を私個人に貸したと考えて記帳するのだ。

ポイントは、どちらも自分なんだけど、個人事務所(OrangeOlive)と私個人はあくまで”別”と考えること。

仕訳例を使って説明すると・・・

①開業準備として仕事用の机を私名義のクレジットカードで購入した

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開業前に購入したものやその他必要経費については、「開業費」として計上する。貸方は、私個人からお金を借りて支払ったと考えて「事業主借」とする。開業費は、1つにまとめて(総額で)記帳せずに、購入した日付でそれぞれ個別に記帳しておく。

②仕事に必要な書籍を購入した

現金で支払った場合

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クレジットカードで支払った場合

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借方は、「書籍」の購入なので勘定科目を「新聞図書費」とする。貸方は、私個人からお金を借りて支払ったと考えて「事業主借」とする。

個人事務所(OrangeOlive)にとっては、私個人のお金の出所が“現金”なのか”クレジットカード”なのかは関係ない。「私個人にお金を借りて支払った」ということが重要なので、どちらも貸方は「事業主借」になるのだ。他にも、口座振替、電子マネー、一生懸命貯めたポイント・・・などなどで支払っても同じ仕訳になる。

ちなみに、クレジットカードで支払った場合、購入した日付で記帳しておけば大丈夫とのこと。購入した日と実際にお金が銀行口座から引き落される日のどっちで記帳すれば・・・とずーっと悩んでいたが、これも「事業主借」「事業主貸」を使うことで、まるっと解決してしまった。

③仕事の売上が私名義の銀行口座に振り込まれた

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借方は、個人事務所(OrangeOlive)のお金を私個人に貸したと考えて「事業主貸」。貸方は、仕事の売上なので勘定科目を「売上高」としている。

初めての個別記帳指導を終えて・・・

今回は、「開業費」から日々の仕訳に使う「事業主借」「事業主貸」までで終了。「とりあえず、これまでの収入と必要経費を書類(売上明細書、請求明細書、領収証、レシートなど…)の金額通りに入力しておいてください」と税理士さん。次回記帳指導の時に、私が記帳した仕訳を税理士さんにチェックしてもらうことになった。 

他にも、「家事按分」や「減価償却」、「決算処理」のことも少し聞いてみたが、詳しくは、決算(12月)や確定申告(2月)の時期がきたら説明してくださるとのこと。どうやら「家事按分」や「減価償却」などは、後からでも設定できるようだ。

最後に、”個別”記帳指導なので、税理士さんに自分の事業に関する細かい部分まで心置きなく質問できるのが、本当にありがたいと思った。しかも「青色申告」まで個別にサポートしていただけるのだから、記帳から申告書作成までの不安がなくなったといってもいい。

ただし!当然のことながら、初年度のみのサポートなので、次年度以降は全て1人で行うことになる。なので、自分なりにもう少し勉強をして、税理士さんのサポートを受けることができる間に、わからない部分はできる限り解決しておかなければ・・・!

※今回の記事の内容は、あくまで私(OrangeOlive)の事業規模・事業内容などを元に税理士さんにご指導いただいたものです。

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19件のフィードバック

  1. yu より:

    こんにちは、青色申告一年目です。「事業主貸」「事業主借」を教えていただけて、仕分け作業がとても楽に進みました。
    質問なのですが、著者様のように口座を事業用と分けない場合、また複数の口座を使用の場合、元入金(開始残高)はどのようになるのでしょうか。恐れ入りますが、教えていただけるととても助かります。よろしくお願いいたします。

    • OrangeOlive より:

      返信が遅くなりまして申し訳ありません!

      記事を読んでいただいてありがとうございます。少しでもお役に立てたなら光栄です。ご質問について私が調べた範囲で回答させていただきますが、専門家ではありませんので、あくまで参考程度にご覧ください。

      元入金は、yuさんの経営状況をそのまま記帳して大丈夫だと思います。元入金なしなら0円、50万円を元入金として開始するなら50万円。

  2. ミイ より:

    はじめまして、これまでずっと白色申告してまして、来年から青色申告をする者です。
    私も夫のクレカで引き落とすものが多く、色々調べてまして、こちらにたどり着きました。事業主借と事業主貸、大変わかりやすかったです。コメント欄の「通帳と残金が一致は無理」も安心しました。どの本もサイトも「一致せねばならん」と書かれているのは、むしろなぜなんでしょう…? 疑問です。
    それはさておき、ひとつ質問させてください。夫のクレカで購入した分に関しては、領収書(あるいは納品書等)とクレカの明細書、両方保管していますか? 
    素朴な疑問で恐縮ですが、お答えいただけると助かります。

    • OrangeOlive より:

      返信が遅くなりまして申し訳ありません!

      記事を読んでいただいてありがとうございます。少しでもお役に立てたなら光栄です。ご質問について私が調べた範囲で回答させていただきますが、専門家ではありませんので、あくまで参考程度にご覧ください。

      領収書とクレジットカードの明細書についてですが・・・まず、経費の領収書は基本的にすべて保管しています。そして、クレジットカードの明細書も、夫のクレジットカード払いにしていて経費として計上しているもの(電気代や通信費など)は保管しています。その経費を支払ったことがわかる(税務署からつっこまれた時にきちんと説明できる)程度に保管していれば大丈夫だと思います。

      通帳と残金の一致についてですが・・・記帳には色々やり方があるようで、記帳指導のときに「家計用と事業用でお金を分けるやり方もあるけどどうする?」と言われ、私は分けないまま記帳する方を選びました。

  3. トウキョウ より:

    こんばんは。夜分失礼いたします。
    拝見させていただきとても参考になりました。

    ひとつ質問なのですが、売り上げを現金でもらっている場合の仕訳としては、

    貸方/事業主貸(現金)10,000 借方/売上高(現金)10,000

    このようになるのでしょうか?
    お忙しいとは存じますがご教授ください。

    • OrangeOlive より:

      記事を読んでいただいてありがとうございます。少しでもお役に立てたなら光栄です。
      ご質問について私が調べた範囲で回答させていただきますが、専門家ではありませんので、あくまで参考程度にご覧ください。

      口座振込も現金も・・・

      (借方)事業主貸 10,000 / (貸方)売上高 10,000

      です。

  4. ta より:

    「事業主借」と「事業主貸」とても参考になりました。
    とてもシンプルな考えで、理解しやすかったです。
    ちなみに地代家賃を家事按分した場合の仕訳はどのようになるのでしょうか。

  5. にんにん より:

    初めまして。記事を読んで大変参考になりました。
    長く白色申告をしていましたが、初めて青色申告に挑戦しようとしているものです。私もSOHOで光熱費や通信費が夫の口座、自分の口座と混ざっていて、どう帳簿を付けるのか困惑しておりました。
    お金も名義も分けなくて構わないと読んでホッとしたのですが、「事業主貸」で個人的な出費は全てつけなければならない…のですよね?
    いろいろ読むと「預金出納帳は必須!通帳と残金は一致せねばならん」などとよく書いてあります。でも口座が複数ある場合はどうなるのでしょうか?
    お忙しいところ申し訳ございませんが、教えて頂けるとありがたいです。どうぞよろしくお願い致します。

    • OrangeOlive より:

      記事を読んでいただいてありがとうございます。少しでもお役に立てたなら光栄です。ご質問について私が調べた範囲で回答させていただきますが、専門家ではありませんので、あくまで参考程度にご覧ください。

      まず、帳簿につけるのは、にんにんさんの事業に関係するものだけで大丈夫です。個人的な出費をつけてしまうと、個人的な買い物を事業の「経費」として計上することになるので、逆に良くないと思います。

      また、「通帳と残金は一致せねばならん」ということですが、家計用と事業用で口座を分けずに”残金を一致”させることは・・・無理だと思います(^_^;)。個人的な出費は、帳簿にはつけませんからね。私の場合、会計ソフトの機能を使って、銀行口座の明細を自動取得しているので、口座ごとに、領収書やレシート通りに「お金が振り込まれているな」「お金が引き落とされているな」と確認するようにしています。

      あくまで、私の記帳のやり方です。様々な記帳方法がありますので、不安なところは、管轄の税務署など専門家に確認されることをおすすめします。

      • にんにん より:

        お返事ありがとうございます!PCが故障してしまって長く見れずにおりました。お礼が遅くなって申し訳ございません。
        
残金を一致は無理…で正解なんですね。どう考えても無理なのではと困惑していたので、少しホッとしました^^;税務署から何やら説明会の通知が来たので、この機会にいといろ確認して何とか頑張ってみます!本当にありがとうございました!

  6. より:

    はじめまして。記事大変興味深く拝読いたしました。主婦をしながら、昨年度からSOHOで仕事を始めました桃と申します。私もOrangeOlive様と同様に、口座を事業用と個人用とで分けておらず、分けた方が良いのかと考えつつそのままになっていた一人です。また、主人のクレジットカードで事業用品の買い物を行うことが多いという点も同じです。そこでご質問なのですが、
    下記の場合、記帳はどのようにすれば良いのでしょうか。
    大抵の物をネット購入(カード払い)しているため、事業に必要な図書費や光熱費なども
    1)の方法で支払いをしています。

    1)主人のクレジットカードを使用し、主人の口座からその分の引き落としがされる場合
    2)主人の口座から、家賃などの支払いをする場合

    お忙しい中申し訳ありませんが、ご教示頂けますと助かります。
    (私も記事を拝見し、青色申告会の指導も検討してみたいと思います)

    • OrangeOlive より:

      記事を読んでいただいてありがとうございます。ご質問について、私が税理士さんに教えてもらった範囲で回答させていただきますが、専門家ではありませんので、あくまで参考程度にご覧ください(^_^;)。

      1)3/1に夫のクレジットカードで仕事に必要な書籍を購入した場合(夫の口座から引き落としがされるのは来月)

      3/1  借方:新聞図書費   貸方:事業主借
      (購入した日付で記帳しています)

      2)3/15に夫の口座から、3月分の家賃が引き落とされる場合

      3/15 借方:地代家賃    貸方:事業主借
      (ただし、家賃など全額経費にならないものは、決算仕訳で「家事按分」しています)

      基本的に夫のクレジットカードでも口座でも、自分のものを使用した時と同じように記帳しています。

      書籍やネット上の情報だけでは不安かと思いますので、一度会計の専門家(税務署、税理士など…)に、ご自分の業務内容を説明された上で、記帳指導を受けられた方が安心できて良いかもしれませんね。

      • より:

        お忙しい中、大変分かり易いご説明をありがとうございます。よく理解することが出来ました。夫名義のカードや口座であっても、通常の仕分けで良いのですね。勉強になります。
        私も折を見て、記帳指導を受けてみたいと思いました。色々とありがとうございました。

  7. キティ より:

    こんにちは。とても参考になりました。
    源泉徴収税について質問なのですが、源泉徴収税は、売上が振り込まれた日に
    借方:仮払税金  貸方:事業主借 
    としているのでしょうか?
    よろしくおねがいします。

    • OrangeOlive より:

      記事を読んでいただいてありがとうございます。ご質問について私が調べた範囲で回答させていただきますが、専門家ではありませんので、あくまで参考程度にご覧ください。

      「売上から源泉所得税が差し引かれて普通預金に入金があったときの仕訳」ということでしたら、以下のような仕訳になると思います。

      借方:普通預金(または、事業主貸)   貸方:売上
      借方:仮払税金(または、事業主貸※)  貸方:売上
      (※補助科目を設定して他の事業主貸と区別がつくようにする)

      私の場合は、売上が振り込まれた日ではなく、「これは何月にお仕事した分のお金なのか」で判断して計上する日を決めています。

      この仕訳はあくまで一例ですので、キティさんの場合はどうなるのかについては、税務署または税理士さんにご相談されてください。

  8. 北村喜生 より:

    記事を有難く読ませて頂きました。当方は2015年分申告が2回目となる個人事業主です。
    1回目は地元の青色申告会のケアにてクリアしました。アプリはブルーリターンです。青色申告会のケアは大変有難かったのですが、簿記そのもの説明よりも入力の仕方やエラーチェックで終わってしまい、結局身に付かず仕舞いでした。今回は弥生の青色申告15(14からの更新)を使用しての申告書作成で、今悪戦苦闘しています(1年目は青色申告会のケアを受けられることを知らず購入してしまいました)。
    さて、個人の財布或はクレジットカードで仕事用物品を購入した場合の処理方法を税務署やあちこちに問合せたのですが、非常にややこしい処理(それが本筋なんでしょうが)を指導され混乱しておりました。しかしこの記事を読み全て「事業主借」で簡単に処理出来ることを知り目から鱗です。有難う御座います。
    ところで初心者がこんなことを云うのは憚るのですが、{「事業主借」は、「事業主から借りている」という意味。}のくだりなのですが、「事業主」とは事業を営んでいる私であり、「私個人」は事業とは無関係な私ですので、「事業主借」は、「事業主が私個人から借りている」と説明した方が理解し易いように感じます。他のサイトでも同じような説明(事業主に借りている)があり、当初はどちらがどちらに借りているのか分からず混乱したものですので。

    • OrangeOlive より:

      記事を読んでいただいてありがとうございます。少しでもお役に立てたなら光栄です。税理士さんから「事業主借」「事業主貸」のことを教えていただいた時は、私も目から鱗が落ちました(笑)

      貴重なご意見をありがとうございます。私が税理士さんから教えていただいた時は、「事業の資産 → (事業主)個人」へお金が移動した場合は『事業主貸』、「(事業主)個人のお金 → 事業の資産」として移動した場合は『事業主借』と説明を受けました。よって、「事業主貸」は「事業主に貸している」、「事業主借」は「事業主から借りている」と記事に書かせていただきました(^_^;)。

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